北陸の気候風土に適した家づくりの法則①

家の作りようは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。

これは今から700年ほど前、鎌倉時代の有名な歌人である吉田兼好が『徒然草』に書いた言葉です。現代語訳は「住まいの建築は、夏を考えて造りなさい。冬は、住もうと思えばどこにでも住める」となります。つまり、家を作るなら暑さ対策をしっかりしましょうと教えています。

昔から暖める手段として火があった一方で、冷やす技術が進んでいなかった時代は暑さをしのぐ方が難しいとされていました。そのため風通しをよくしたり湿気を逃す方法などは工夫されてきましたが、家のつくりで冬の寒さをどう防ぐかという意識はそれほど高くなかったのかもしれません。

このような考え方が主流だったせいか、日本人は囲炉裏で暖を囲み、防寒着を身につけながら少々の寒さは我慢して過ごしてきました。そして今、世界の先進国に比べると日本の住宅は冬の寒さ対策が不十分な「寒い家」になっています。問題はそんな日本の住宅に寒いだけでは済まない危険が潜んでいることです。

家の中は外より危険? 入浴中の事故死は交通事故死の4倍

近年、住まいと健康の関係がますます注目されています。厚生労働省の調べによると、入浴中の事故死だけで年間1万9千人以上と推計され、交通事故死の4倍以上にもなることがわかっています。入浴中の事故死のおもな原因が、家の中の急激な温度変化で体調が急変するヒートショック。冬場、暖房で暖められた居間から寒い脱衣所への移動、さらにそこから熱い湯船に入ることで血圧が激しく変化して事故につながります。寒い家は住む人の体に大きな負担をかけているのです。

ここでは、北陸で健康な暮らしを叶えるための家づくりに欠かせないポイントを整理してご紹介します。あえて「北陸で」と地域限定にした理由は、地域によって最適な方法は異なるからです。北陸で家づくりをするからこそのポイントがあります。

健康住宅を建てるメリットは他にもあります。省エネだから環境にもやさしく、光熱費も抑えられ家計にもやさしい家になります。これからの時代、地球環境や住宅燃費は家づくりの重要なキーワードです。家族みんなが楽しい毎日を過ごせる健康で快適なマイホームが欲しい、そう願うあなたに役立つ情報になれば幸いです。

家の中の温度差を少なくする

健康住宅で重要な要素のひとつが断熱性能です。家の断熱性能が高いと室内は外気温の影響を受けにくくなります。保温・保冷効果が長時間持続する魔法瓶をイメージすると理解しやすいかもしれません。

夏は冷房効果で長時間涼しく、冬は暖房効果で長時間暖かく過ごせるようになります。そして、さらに大きなメリットは家の中の温度差が少なくなるということです。高齢者が暮らしやすい家といえば段差のないバリアフリー住宅ですが、段差と同じように家の中の温度差を少なくすることが健康な暮らしにはとても大切です。

はじめにお話したヒートショックも家の中の温度差が原因で起こります。つまり、温度差が少ない家で生活することにより体への負担が減るので健康維持にとても有効です。

断熱性能が上がると疾患が改善する

住宅の気密性や断熱性について長年研究している近畿大学の岩前教授は、すぐれた断熱性能の新居に引っ越す前後で住まい手の疾患がどう変化したかを調査しました。その結果、断熱性能が高い家に住むほど疾患が改善することがわかりました。

引用:リフォーム産業新聞 パッシブ化がつくる「人にもペットにも優しい家」

上のグラフを見ると気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、関節炎、アレルギー性鼻炎などの諸症状について、大半の症状に明らかな改善が見られます。特に省エネ等級4以上など、より断熱性の高い住宅へ引っ越した人ほど改善率が高くなっています。

冷えは万病のもと

体を冷やすと免疫力や抵抗力の低下につながることから、冷えは万病のもとだと言われています。冷たい食べ物や飲み物は体を冷やすので、健康を考えてなるべく摂らない人もいるでしょう。

同じように低温の部屋にいることも体を冷やすので健康に良くありません。このような説明をすると、部屋が寒くても厚着すれば体は冷えないからと大丈夫だろうと思い込んでいる人もいます。

しかし、ここで考えてみてください。体内に取り込んでいるのは食べ物や飲み物だけではありません。私たちが常に行っていること…そう呼吸です。部屋が低温で呼吸する空気が冷たいと、どんなに厚着をしても結局は体内を冷やすことになってしまいます。

冬の夜中や明け方に咳き込んで止まらない人がいます。室温が低下し呼吸する空気が冷たいせいで、体が拒絶反応を起こしている可能性も考えられます。お年寄りや小さい子供など抵抗力の弱い人が過ごす部屋は、特に室温管理に気をつけなければいけません。

また、起きている間は暖房で部屋が暖まっていても、就寝時に暖房を停めてしまう人がほとんどではないでしょうか。寝ている間は布団に入っているから体は冷えないと思いがちですが、実は冷たい空気を吸っていることで体を休めるための睡眠中でも負担をかけ続けているのです。

予算内でどれだけ断熱性能を高めることができるか

あなたが健康で快適なマイホームが欲しいなら、断熱性能を高める仕様を選ぶことが最も大切です。構造、設備、内装、外壁、庭などにどう予算配分するかを考えるなら、まず断熱性能を上げるためにできることは何かを家づくりのパートナーに相談してみてはいかがでしょう。断熱性能は高ければ高いほど健康へのリターンも期待できます。あなたの希望に応え、断熱性能の向上に積極的に取り組んでくれるパートナーをお勧めします。

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